国内初、e-Bike30台×サイクルトレイン×フェリー×clubhouseのイベントツアーを天橋立で開催しました。
令和3年2月14日~15日、天橋立で国内初(当社調べ)となるe-Bikeを専用列車(サイクルトレイン)に乗せ、フェリーに乗せ、走って地域を体験するイベントツアーが開催されました(主催:北前船まちづくり委員会、e-Bikeツアー統制:弊社)
- 走行距離23km
- ツアー時間:1泊2日(2日目のサイクリング:8時間半)
1日目(公開セミナー&鉄道旅)
宮津歴史の館にて、国内の有識者を招いて「新しい旅のスタイル」についてのトークセッションを行いました。
そして丹後鉄道に乗って鉄道旅を満喫。
ツアー参加者たちは今年完成したばかりの「フェアフィールド・バイ・マリオネット・京都宮津」に宿泊。夜にe-Bikeの割り振りやサイクリングの班分けなどを行いました。
2日目(e-Bike旅)
朝8時にフェアフィールドを出発・・・と思いきや、大豪雨。急遽一部はバスで行くことに。
ツアー参加者にはカッパを配りました。
最初の訪問地は宮津カトリック教会。明治に作られた教会で、色とりどりのステンドガラスが特徴。文化財にもなっています。あと、向かいの大手川沿いに再現された宮津城の石垣跡がロマンです。
和貴宮神社(わきのみやじんじゃ)
宮津の地名のもとになったと言われる、宮津の中心的神社。商人たちの寄進が名を連ねています。
大頂寺
天橋立を見下ろすお寺。住職がとても気さくで親切なかたで、宮津やお寺の歴史を楽しく分かりやすく説明してくださいました。
旧三上家住宅
かつて多数の北前船をとりきっていた、豪商三上家の邸宅。贅を尽くしつつも品のある邸宅と調度品を体感できます。管理されているスタッフの方も多くが昔から地域を守ってきた近所の方々で、とても深くて面白いエピソードを交えて親切に案内してくださいます。
ここでは大河ドラマ「麒麟がくる」に合わせた細川忠興とガラシャ(明智光秀の娘)展もあり、ツアー特別の着付け体験もさせていただきました。
宮津の細路地
宮津の街並み歩き/サイクリングは本当に面白いです。まず丹後の中心として栄えてきた城下町で、迷路のように入り組んで、道すがら地蔵や石垣など様々な昔の物が残っています。何より面白いのは「寺社と家と道が混然一体となっている」ことで、どこから寺なのか家なのか分かりません。
さらに戦前にかけて北近畿最大級の遊郭街としても発展し、「新町わくわく通り」はその名残を残します。ガイド無しで楽しむのは難しいですが、是非宮津の街中を旅してみて下さい。
山王宮日吉神社
宮津藩の守護神とされた神社。今でも年の行事で多くの人がお参りに来ます。山王祭は藩の祭りでもあり、宮津の多くの神社が共同で執り行います。ここでは地元のガイドさんにご説明いただきました。
運河沿いの自転車道をサイクリング
・・・のはずが、雨で台無しorz 晴れた天橋立はこんなもんじゃない、本当に日本三景の名に恥じない最強最高のサイクリングコースなんです。
特に宮津市街から天橋立に抜ける運河沿いの自転車道は、青く光る海の真横を走る、息をのまずにはいられない日本最高級の道です。
天橋立ビューランドでお昼休憩
あさりコロッケバーガー&クラムチャウダー&智恵の餅セット
お昼は350年の伝統をもつ「智恵の餅」吉野茶屋さんのテイクアウト。天橋立は実はアサリが名物。アサリをふんだんに使ったコロッケバーガーとクラムチャウダーは雨で冷えた体に最高でした。力がみなぎってきました。
ボリュームたっぷりで大満足。
ビューランドからの眺めは・・・天橋立は皆さまの心の中にあるのです。
智恩寺
午後からは雨も小降りになり、いよいよ皆でe-Bike。
スタッフで周りながら使い方をレクチャー。
天橋立を渡る
天橋立の松並木をe-Bikeで渡りました。ショートカットにはなりましたが、雨の日の天橋立は泥だらけで・・・きれいめの服を着てきた女の子は涙目でした。
雨の天橋立は自転車で渡るべからず!ダメゼッタイ!
渡るなら完全防護で!!!
元伊勢籠神社
山陰・北近畿最高の社格を誇る神社でお参り。
「天照大神よ・・・このツアーに天の日をお恵みください・・・!!」と皆わりとガチで祈りました(主祭神は彦火明命ですが、天照大神も伊勢神宮に旅立つ前にこちらに御わしたので祀っています)。
真名井神社
丹後最大級のパワースポット。元伊勢籠神社奥宮。弥生時代の遺跡も発掘される。かつて「天橋立」の言われは、神々が日本創世に際して行き来した天に架かる橋を、使い終わったため片側を落として海に落ちたことから。
現宮司の海部家3代目の天村雲命が天界から御神水を持ち帰ったのち、天界からの水が絶え間なく湧き出るようになったといいます。
御神水を飲んでパワー回復。
旧街道を通って国分寺跡へ
弊社の記事でも紹介しましたが、先月放送されたブラタモリでも特集された、「天橋立の原点」。奈良時代に作られた丹後支配の中心。ここからの眺めは天平観と言われ、最も古い天橋立の美景と言われています。
本日のメインイベント①e-Bikeを船で輸送
丹海連絡船一の宮桟橋
丹海の連絡船にe-Bikeを詰め込み。連絡船スタッフとツアー参加者の見事な連携で、5分程度で30台のe-Bikeを積載&卸下に成功。
船旅もいいものです。
ちなみに普段から+500円で自転車を積んでもらえます。
本日のメインイベント②e-Bikeを鉄道で輸送
天橋立駅→岩滝口駅
本ツアー最大のビッグイベント。丹後鉄道のスタッフの方々の誘導により、3分という限られた乗車・下車時間内で見事に乗り降りできました。
ちなみに車両は2両編成で、後ろの車両は私達e-bike、前の車両は普通のお客様が乗っていたのですが、知らずに来た一般観光客の方々は唖然としていました。
最後は工場見学からのサイクリング
幸和織物
300年の歴史を持ち、今も国内最大の和装生地生産地である丹後ちりめん。
見事なうちかけやその生産工程をご解説いただきました。
神の光が・・・
最後のサイクリングになって、なんと晴れ間が。
これが丹後。
丹後は日本有数の降水量を誇り、「うらにし」といってすぐ天気が変わる。天気予報は本当にアテにならない。でも、雨が上がった後、海に日の光がスポットライトにように差し込んだり、波でキラキラ反射したり、そんな景色が最高に美しいです。
「こうやって昔の人は、丹後に神を感じたんだな」といつも思わせられる。こればかりは、車では決して味わえない感動です。
ゴール
最後に丹後鉄道社長の粋なはからいで、参加者は天橋立発の硬券(激レアです)を手渡され、多くは駅前の温泉「智恵の湯」に入ってから、帰路につきました。
ツアー後記
今回のツアーは弊社としても初めて尽くしでした。国内ではまだ弊社以外でこういったツアーを扱う事業者はおりませんが、今後の日本のe-Bikeツーリズム発展のために、その教訓を記します。
国内初の30台規模のe-Bikeツアー
弊社の保有台数の実に2/3を投入しましたが、ただでさえ扱いに専門の技術が必要で、輸送も大変なe-Bikeを1か所に集めて運用する、というのは大変な神経を使うことでした。警察署に計画を出しに行った時も「本当にやるんですか?」と言われました。これまで何回もガイドツアーをやってきてある程度のノウハウはありましたが、悪天候下で事故無く完璧な時程でこなせたのは、ひとえにこれまで多くのツアーを共にしてきた優秀なスタッフたちの機転と連携でした。(緊急事態宣言下で人が皆無だったのももちろんですが)本当に感謝です。すべて手慣れた自社保有のe-Bikeだけで(予備機も含めて)ツアーができるというのも強みです。
国内初のe-Bike×サイクルトレイン(×船)
時間が完璧に決まっていて、乗降時間が非常に短いサイクルトレインとの連携は、本当にシビアでした。
何度も机上でシミュレーションしましたが、ぶっつけ本番でしたし。それでも極めてスムーズにできたのは、自転車と鉄道両方の特性を熟知した寒竹社長の事前の徹底した協議での問題点の洗い出しと丹後鉄道の優れた安全管理能力のたまものです。もちろん次にやるときはもっと早くできると思います。
悪天候下でのe-Bikeとバスとの連携
弊社でも不測事態対処用に車両班を随行していましたが、今回は悪天候で希望者はバスで随行し、一部/全部をe-Bikeで走るという流動的なツアーでした。お客様には全部を走りたい人もいればちょっとだけ走ればいい人もいて、悪天候下においてその満足度を維持するにはバスとの連携が不可欠です。通信の確保に失敗して一部連携が乱れるところもありましたが、現地を熟知している丹後海陸交通のドライバーは、狭い天橋立周辺でも絶妙な位置取りをしてくれました。やはり地元バス会社はすごいです。
ただ、若い女の子はきれいめの恰好をしてきて、泥と水まみれになってしまったので、服装の徹底や防水・着替えの処置は必要でした。
国内初のイベントでのクラブハウス運用
1月下旬に日本に上陸してからわずか3週間でしたが、何とか運用にこぎつけました。
弊社が昨年から京都府と行ってきた「リモートガイド」技術を応用し、インストールしたスマートフォンと骨伝導イヤホンとネックスピーカーを全スタッフに配布し、イベントの終始常に接続していました。
クラブハウスはモデレーターの権限設定やグループ会話時の音声の遅延の少なさ、音質が素晴らしいアプリです。本来はSNS的に使うものですが、実はイベントなどのスタッフ~ゲスト間通信にも最強のツールです。
さらに外部にも配信できます(実際音声だけ配信しても外部視聴者は分かりにくいので、Youtubeライブなどと併用した方が良いと思います)。
こういう複雑な動きをするイベントではグループ通話型・常時接続型の通信は重要で、これまでLINEのグループ通話などを使ってきましたが、クラブハウスの便利さは異次元のレベルです。今回のイベント成功の影の立役者です。他のツアー事業者の方々も是非お試しください。
今後これを発展させて、世界中の人と繋がりながらイベントを運営する、「新しい旅のありかた」を追求していきたいです。
新しい旅のありかた
なぜ、弊社のような日本海の北端の創業3年目の零細企業が、新しいものに挑戦するのか。
それは、地方だからこそ、零細だからこそ、日本や世界を驚かせる新しいものが創れると信じているからです。
E-bike、Clubhouseという新時代のツールと、丹後という日本で最も古い観光地。これを組み合わせることで、都会の人も、世界中の人も感動させられる、最高の「新しい旅」を作りたい、そう思ってこれからも挑戦していきます。
(合同会社海の京都e-Bikes 代表 増田)